インタビュー「技術力と直貿でニッチ市場での隠れた"チャンピオン"を目指す」
  • ティーエスアイホールディングス
  • 2022.09.05

注目のブランドに迫るこのこのコーナー。今月の"it"ブランドは、TSIグループの「㈱トスカバノック」です。
アパレル副資材のトップメーカーに位置し、新商品の開発や新たな分野へ挑戦しています。今回は埼玉・三芳工場を訪問し、物作り現場での取り組みを中心にインタビューしました。

| 「トスカバノック」について
 当社は値札やブランドタグなど、『つける・むすぶ・標示する』 樹脂製品を扱うニッチなマーケットで、国内・海外20カ国に直貿販売しています。自社で開発から製造、販売を行ない、他の追随を許さないポジションを確立。1968年創時からバノックブランド(タグガン、ピン、ロックス)を展開し、中でも「糸ロックス」は現在売上の50%を占める主力商品です。アパレル向け副資材としては国内SPAメーカーを中心に70%のシェア率を占めており、EU圏においては「ZARA」など大手取引先をはじめ、海外での実績も高まっています。

| 自社開発とグローバル生産販売の大きな強み
 商品の開発拠点でもある三芳工場(埼玉県)は、収益の柱である「糸ロックス」を中心にした量産体制を敷いています。海外は1992年に中国、2006年にベトナムへ生産拠点を、また2014年にホーチミン、2019年に上海へ販売拠点を設立し、グローバル市場に向けた生産体制や市場開拓の重要な拠点になっています。その物作りにおける最大の強みは、特殊な「金型」を自社で開発していること。設計・製作・成型加工まで一貫対応することで、スピーディーかつ精度の高い製品を生み出しています。長年の経験で培った技術力をもとに、他社では困難な新規開発、新しい価値の創造にもつながっています。

| エコへの取り組み
 商いとしては石油系プラスチック商品が主軸でしたが、環境配慮の取り組みを目指し、約10年前からエコプロダクトの開発を推進。糸にオーガニックコットンや麻など天然素材を使用し、樹脂部に生分解性プラスチックを採用した土に還る「BIO糸ロックス」を実現したほか、ベトナムでもバイオマスを中心とした開発を進めており、コーヒーやお米を再利用した商品は評価を得ています。コストやリソース、品質の安定性などの課題もありますが、今後2~3年のうちに、全体の約20%をサステナブル商品へシフトしていく考えです。お客様からの要望も"メイドインジャパン"ではなく"メイドフロムエコ・リサイクル"へと、ニーズや価値観が変わってきています。

| 今後に向けて
 当社の長い歴史の中で培ってきた技術力を生かし、アパレル以外の業種へもトライしてきました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同開発による人工衛星の部材、メディカル分野では病理検体を固定するセットピンを開発。そのほか自動車産業セキュリティ企業への提供など、求められるニーズを超えた創造と斬新なアイデアを重ね続けています。すべてに共通することは、ユーザーから信頼され、「安心・安全」を実現する商品であること。これからも当社が持つオンリーワンの技術を生かし、地球環境や社会にポジティブな変化をもたらす新たな価値を提供していきます。








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