インタビュー 「今できることをカフェから届ける」
  • マーガレット・ハウエル
  • 2022.02.01
Wellness & Lifestyle

注目のブランドに迫るこのコーナー。今月の"it"ブランドは「マーガレット・ハウエル カフェ」です。「マーガレット・ハウエル(以下、MH)」が日本のみで展開するカフェ事業についてインタビューしました。

| 「マーガレット・ハウエル カフェ」について
 「GOOD FOOD, GOOD SERVICE」をコンセプトに、MH旗艦店である神南店に併設するかたちで1999年にオープンしました。その後、二子玉川店と吉祥寺店が加わり、現在3店舗で展開しています。それぞれ立地によって特性があり、落ち着いた雰囲気のある神南店は年齢層が比較的高く、他店に比べ男性のお客様もお見えになります。SCで展開する二子玉川店はお子様連れの方が多く、また吉祥寺店は駅前の喧騒から離れた穏やかなロケーションで、地元の奥様方や若い女性を中心にご利用頂いています。いずれもアパレル併設店なので、デザイナーのマーガレット自身が提唱する「MODERN BRITISH」なスタイルは、空間はもとより提供するメニューにも取り入れられています。

| MHの世界観を伝えるメニュー
 こだわりでもあり、これからも続けていきたい姿勢としては食材です。あえて志向をうたうことはありませんが、出来合いのものは使わず原材料を厳選しています。手間はかかりますが、お客様に安心して頂けるようすべての把握を心掛けています。
 メニューも客層同様、各店ごとに異なります。UKから届いたレシピをもとに、神南店ではシーズナルメニューとして毎月限定のフードとデザートをご用意。オーダーの都度、一つひとつ丁寧にスタッフが手を進めていきます。二子玉川店は50席以上あるので、早く提供することが必要です。そこで開発したのがデリプレートです。旬の食材を彩りよく、一皿で美味しく楽しんで頂きたいという想いが、オープン以来の人気メニューとして支持され続けています。そして吉祥寺店の強みは2名のパティシエの存在で、デザートを打ち出しています。中でもイチゴを使った「ヴィクトリア スポンジ」ケーキ、イギリス伝統の「キャロット」ケーキは人気で、ウェイティングができるほど同店の顔になっています。
 多角展開してしまうと均一的なメニューとオペレーションになりがちですが、おのおのの個性が引き立つことで、お客様自身が各店を楽しみながら回遊して下さ
るようになりました。

| オンラインストアを通して
 2020年8月、MHカフェ公式のオンラインストアをローンチしました。全国にMH店舗がある中で、カフェの世界観をなかなかお届けできなかったことが一つの経緯です。紅茶やコーヒー豆、焼き菓子などを販売しており、売上も前年比180%を超えるほど好調に推移しています。
 メインは今月のケーキです。オンライン限定商品、あるいは店頭で好評のケーキをリサイズし、12カ月12種類を展開しています。売上の6割以上を占めるほど人気で、年末恒例のジンジャーケーキは予約開始日にアクセスが集中し、再開後も2日を待たずに完売するなど、お客様が楽しみにされている気持ちが届きました。
 リピーターの方も増えており、MH店舗のあるエリアからのご利用も多いことから、アパレルと連動していることも実感しています。全国的に外出を控える時期もあったので、ケーキと紅茶の掛け合わせなど、ご自宅でカフェを楽しんで頂くご提案も隠れたテーマです。洋服もそうですが、背景にあるストーリーを知ることでより愛着や親近感が湧くと思うので、これからも丁寧にお伝えしていきたいです。

| 今後に向けて
 オンラインストアをより注力していくとともに、対面という部分ではフィジカルな接客を通じて、五感に届く購買体験を充実させていきたいと考えています。昨今の環境下、コミュケーションの不自由を強いられ、お客様に直接接客したいと思うショップスタッフはたくさんいたと思います。2年前に戻ることはできないので、"今できる楽しいこと"をカフェ起点に発信していきたいです。
 そしてカフェの運営においては、クオリティーを維持すること。先日ご来店されたお客様が、「5年前にここで食べたスコーンが美味しかった。その時の味と同じだわ」とおっしゃって下さいました。原材料はその年によって品質が変わるため、完成形の維持は難しさもあります。それに向けては現場のスタッフたちが、細かい部分まで技術を要しながら頑張ってくれています。現場がしっかりと運営を行うことで、チャンスは舞い込んでくると思います。そのチャンスをしっかり受け止め、カフェに携わるすべての人が交流できる環境を作っていきたいですね。

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