TSI BRAND INTERVIEW 「and wander」
  • アンドワンダー
  • 2019.08.30
Wellness & Lifestyle

注目のブランドに迫るこのコーナー。今月の"it"ブランドは、㈱アンドワンダーの「アンドワンダー」です。日本発のアウトドアブランドとして、国内外から高く評価されるその背景についてインタビューしました。

― ブランドを通して、山や自然の大切さを伝える ―

| 立ち上げたきっかけは?
池内
 自身がキャンプに行くようになり、アウトドア道具が好きになってグッズから揃えるようになりました。いざ、合わせるウエアを買おうとすると感覚的に不満があって。デザインの仕事をしている仲間たちも同意見でしたね。そこでファッション性を加味した、普段自分たちが楽しんで洋服を買い物できるような、もう少し洗練されたウエアがあるといいなという気持ちから始まり、ないなら自分たちで作れないかなと模索したのが大きな経緯です。そして、前職で元同僚だった森さんと2011年春夏シーズンに立ち上げました。

 私もブランドを立ち上げる前からキャンプや山登りを楽しんでいましたが、ウエアに関しては機能面だけが優先されていて、実際に着たいと思うものがありませんでした。自分たちと同じような思いを持っている人たちが世の中にはたくさんいるのでは? という想像のもとモノ作りを始め、それが少しずつ支持されるようになりました。


| モノづくりへのこだわり
池内
 アウトドアウエアは専門性が高く、僕たちがやりたいようなモノ作りに特化している工場さんは日本にはそれほど多くありません。パートナーになって頂ける限られた工場さんと詰めながら作り上げていくため、面白い部分と大変な部分の両方を感じています。さまざまな工場さんが持っている技術力によって新しいモノ作りができる魅力はありますが、やみくもに開拓せず、決まったお取引先としっかり取り組むスタイルを大切にしています。

 できるだけ国内生産で作りたいと思っています。アウトドアブランドに限らないと思うのですが、工場さんの得意不得意など特性があるので、選定には気を使っていますね。

池内 商品はスペックごとに分け、品質タグに山マークで表示しています。3つの山が付いているものは急激な天候の変化など身を守る服でもあるので、天然素材を使わず防水性や保温性があるもの、汗冷えのない速乾性能など機能面の裏付けがあって、自分たちが実際に着用して確かめながら作っています。山1つはカジュアルなタウンユースを軸に、キャンプにも適した仕様です。機能性を視野に必要なシーンに応じたモノ作りゆえ、アウトドアファッションではなく、実用的なアウトドアウエアとして素材選定をしています。大量生産で低価格なモノが市場にある昨今、枠にとらわれない自分たちのアイデンティティを築き、ブランドの強さを作ることで差別化を図っていきたいと考えています。


| ブランドの世界観を伝えていく
 2017年春、初の直営店「MT.(エムティー)」を元代々木にオープンしました。ブランドの思いを伝えていくことを卸先にお任せしていると、どうしてもブランドの純度が下がってしまいます。自分たちでお店を作り、自分たちでお客様にきちんと伝えなければならないと、立ち上げた当初から思っていました。「アンドワンダー」の世界観をトータルで発信する拠点です。

池内 それまではすべて卸だったので、展示会のオーダーから反応を得ていました。小さいお店ですが、ほぼフルラインナップで並べることができ、今何が売れているかとか、何が起きているのかなどユーザーの興味をつかめるようになりました。そういった情報はほしかったですし、売上など数字面においても間近に把握できるようになりました。また、オープンを機に外国人のお客様も増えるなど、新たな傾向も感じています。

 また、同店を拠点にハイキングやキャンプを行なう「HIKING CLUB」も運営しています。山や自然で遊ぶ楽しさを伝えたく、またそのきっかけ作りや手段を探している方もいると思います。年5回ほど開催していますが、私たちが主導しなくてもお客様同士が仲良くなり、新たなコミュニケーションや情報交換の機会にもつながっています。


| 今後の目標は?
 これまでパリやニューヨーク、イタリアと、ファッションを軸とした海外での合同展に参加してきましたが、今年6月にドイツで開催されたヨーロッパ最大級のアウトドアスポーツ展「OutDoor by ISPO 2019」に初出展しました。現在、ヨーロッパ内でのファッションマーケットでは約30店舗で卸展開しており、次なるステージに向けてはアウトドアマーケットでの拡大です。また、国内においては来春を目標に新店舗を計画しています。ブランド名「アンドワンダー」を屋号に冠した出店は初めてなので、きちんと自分たちのブランドが形になるよう、会社としても成長していきたいです。

池内 ブランド立ち上げ当初から描いていますが、街中だけでなく、アウトドアのフィールドに近いところに新たな"場所"を作りたいと考えています。キャンプ場や山小屋みたいなものかもしれませんし、自然で遊んだり宿泊ができたりと、アウトドアを通して何かを体感できる、いわゆるブランドのお店ではない場所作りができたらいいなと思います。今はまだぼんやりとした夢ですが、「アンドワンダー」として必ず実現し、自然に触れ合うブランドであり続けたいです。



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